「人は見た目が9割」だということを転職先で思い知った話

人は見た目が9割。

そんな言葉があるくらい、見た目は重要である。
モテるモテないだけの話ではなく、ビジネスにも大きく影響する。

これはそんなことを痛感したある物語である。

それは転職先の会社で起こった

営業の仕事に就いて2年になる。
社長と事務の女性と私、たった3人だけの小さな会社だ。
社長はゴルフと女遊びに忙しくて週に2回しか顔を出さない。
事務の女性は勤務中にインターネットで下着を検索し、「これカワイクない?」と私にそのページを見せてくる節操のない奴。
とても愉快な仲間たち。

転職活動中にハローワークでこの会社を見つけた。
職種を「事務」で検索したら引っ掛かり、事務の中では給料が良かったこと、家から20分で通えることに惹かれて応募をしたら採用された。

実際に働いてみると、8時間の内の7時間が営業。
残りの時間に事務も経理もやる。
、、、、というか、全部じゃね?

社長がやっているのは資金繰りだけ、事務の女性はちょっとした事務だけ、それ以外は何もかも私の仕事だ。
それでもストレスも不満もなく2年も続けているのは、性に合っているからなんだろう。

突然、事務女はこう言い放った

事務女「西山くん(私)の前任の玉木(仮名)さん、すごく仕事ができる人だったんだよ」

玉木さんが結婚を機に奥さんのお父さんの会社を継ぐということで退職をして、すぐ私が入社したらしい。
年齢は私と同じだそうだ。

事務女「今残ってるお客さんのほとんどが、玉木さんが契約を取ってきたお客さんなんだよ」

毎日電話のやりとりをしているお客さんは20社ほど。
私が契約を取ってきたのはその内7社ほどなので、10社以上は玉木さんが取ってきたのだと言う。

なるほど、たしかにできる人のようだ。

事務女「トークも上手いから、どのお客さんにも気に入られてたんだよ」

玉木の存在が気になる私

会ったことはないけど、一体どんな人なんだろう?
男は往々にして抜けている部分があるもの。
自分も含め、抜けていない男に会ったことは一度もないが、彼がそれかもしれない。

 

数日後、社長と2人で食事をしていたときである。

社長「最近営業の調子がいいじゃん」
私「はい、なんだか分からないんですけど、上手く契約取れてます」

運良く、私はこの2週間で2件も契約を取れていた。

私「玉木さんみたいにたくさん取れるように頑張ります!」

ここはやる気があるところを見せておこう。

 

はたして玉木は仕事ができた…のか?

社長「玉木? あいつは6年もいて2~3件しか取ったことないぞ、ほとんどは俺が持ってきた客だよ」

なんだって…? どうゆうことだ? 情報が…。

客「玉木は電話がなかなか繋がらなくて、折り返しもしてこなかったから、西山さんに代わって良かったよ」

これを、私が入社した頃によく言われた。
ほとんどのお客さんが口を揃えて言っていた。
会社の協力会社の作業員からは、

作業員「玉木は何かとテキトーだし、ミスが多いし、注意すると怒鳴ってくるし、いなくなってだいぶ気持ちが楽になったよ」

と言われていた。
事務女が言っていたのと話が違う…。

わかったぞ

そこでピンときた。

会社にあった玉木の写真や、PCにログインしたまま残っていた玉木のSNSのアイコンで思っていたことがあった。
玉木は、かなりのイケメンだ。
だから、事務女からの評価だけが高かったのだろう。

イケメンは、仕事ができるように見えたり、運動神経が良さそうに見えたりする。
加えてトークが上手ければなおさらだ。

しかし、イケメンは男から妬まれることがある。
会社のお客さんの98%は男だから、玉木はあまり契約を取れなかったのかもしれない。

え? ってことは最近調子の良い私は…?

契約なんてどうでもいいから、イケメンに生まれたかった。

西山 一(はじめ)

西山 一(はじめ)サラリーマン小説家

投稿者プロフィール

シェアブログに乗り込んできた新進気鋭の小説家。
独特のタッチと切り口でファンを魅了している。

実際に本人に起こった日常の出来事を小説タッチで表現する。
そのシュールさにハマる人が続出中。

2016年、不動産投資デビュー。
今後は、多摩と埼玉の物件を買い進める予定。

30代。生まれも育ちも多摩。多摩を知り尽くした男。
立川を都会だと信じて疑わない。

ブログ「今日もまた終わる。」運営中。

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