「将来的に人口が減少」するから「日本経済は衰退」は間違いだった!その理由は?

おはようございます。
細田@ブックブロガーです。

皆さんは日本の現在の課題は何だと思うでしょうか?
私は日頃から、日本の「人口減少」問題に漠然とした不安を感じていました。

現在の日本の人口は約1億2千万人ですが、ある調査では、2100年には日本の人口が4千万人にまで減少すると言われています。

何となく、日本の経済はどうなってしまうのだろう・・・と感じていたところ、この本に出会いました。

人口と日本経済 – 長寿、イノベーション、経済成長 (中公新書)

本書は、マクロ経済学を専門とする著者が、人口と経済の関係について語ったエッセイです。

その中には、私が漠然と感じていた日本の人口問題に対する答えがありました。

人口減少は悪か?

古くから、経済学者たちは、経済学の視点で人口について様々な論議がされてきました。
現在の日本では、まるで「人口減少」が悪というような「人口減少ペシミズム(悲観主義)」が蔓延しています。
確かに18世紀までは、多くの経済学者たちが、「人口増加」は経済繁栄に欠かせない要素だと主張していました。

ところが、そんな考えに一石を投じたのが、イギリスの古典経済学者マルサスでした。
マルサスは「人口論」の中で、食物が線形で増えるのに対して、人口は指数関数的な増加を示すことを指摘しています。
例え、最初は人口と食物の量が釣り合っていても、月日が経つにつれて乖離が生まれます。
その人口と食物の量の乖離こそが様々な社会の歪みを生むのだと。
つまり、人口増加は必ずしも経済的に良いことではないというのがマルサスの主張です。

人間の繁栄の本当の要因とは?

このように、昔から人口と経済については、様々な議論がなされてきた訳ですが、特にマルサスの主張は、その後の多くの経済学者に影響を与えてきたと言います。
当時、マルサスの主張は、理論的には正しいという評価を受けていました。
ただ、そんな中で、私たち人間は、人口を増やしながら経済を繁栄させてきました。

それでは、人々は、経済はどうしてここまで繁栄してこれたのでしょうか。

実は、経済の発展において人口はそれほど重要ではないようです。
それよりも大事なのは、生産性の向上です。

GDPと人口には相関がない?

経済成長を表すの指標としてGDPがありますが、実際に過去のGDPの推移を見てみると、GDPの伸びと人口の増加には相関が一切無かったようです。

それよりもGDPの支配的な要因は、「一人当たりのGDP」。
つまりは生産性なのです。

当然労働人口が増えなくても、一人当たりの労働者が作り出すモノが増えれば、経済は成長するはずです。

例えばAI技術で人々の労働が奪われると危惧する人がいますが、AI技術の普及で、私たち一人一人の生産性が向上すれば、私たち一人当たりの収入も増えるのです。

私たちが考えるべきことは、人口減少を嘆くよりも、イノベーションをどう生むかということなのかもしれません。

本書の最後に、著者はこのように書いています。

「人口減少が日本という国に大きな問題であるかもしれないが、人口が減るから経済成長は無理という論議は正しくない。これは本書で繰り返し書いたことだが、今こそイノベーションの役割を思い出したい。」

何となく、私が日頃から感じていた不安が取り除かれた気がします。
さて、次はイノベーションをどう生むかを考えよう。

細田@ブックブロガー

細田@ブックブロガー30代読書家

投稿者プロフィール

WEBではなく、読書を愛する会社員。
ブックブロガー。
年間300冊以上の本を読んでいる。

読む場所は主に都内のスタバ。

「読書をする時間のないビジネスマンのため」ビジネス本レビューを行い、ビジネスマンの質の高い情報のキャッチアップに務める。

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