幸せはお金で買える。ノーベル経済学賞受賞の「アンガス・ディートン」とは?

アンガスディートン

先日、こんな記事がありました。

スウェーデン王立科学アカデミーは12日、2015年のノーベル経済学賞に、消費と貧困、福祉の関係について分析を行った英スコットランド出身のアンガス・ディートン米プリンストン大教授(69)に授与すると発表した。

http://www.sankei.com/life/news/151012/lif1510120029-n1.html

 

今日は、そんな経済学者アンガス・ディートン氏について解説していきます。

「お金で幸せは買えるのか?」という研究

そんなディートン氏の論文で著名なのが、「お金で幸せは買えるのか?」という研究です。 同じくノーベル賞を受賞したダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)とともに、この問題に取り組みました。
http://www.iima.or.jp/Docs/column/2015/1019_2_j.pdf

論文によると、こういっています。

Emotional well-being also rises with log income, but there is no further progress beyond an annual income of ~$75,000. 「感情的な幸せというのは、収入に応じて上昇していくが、75,000ドルを超えたあたりからは上昇しない。」

幸せは、年収75,000ドル(今の価値なら900万円)を超えるまでは上昇していくが、それ以上は上昇しないということです。 僕がはじめて聞いたのは大学時代の教授からだったのですが、その当時は1ドル100円ほどだったので750万円。 なので大学時代には、「そんなものなのかぁ」というのが率直な感想でした。

実践した社長もいた

ディートン氏のこの考えに感銘を受けて、ある会社の社長が社員の給料をすべて7万ドルに引き上げたという話もあります(自分の給料は7万ドルまでカット)。

自分と社員の給料を一律7万ドルにしたイケメン社長 ところが最近、そんな風潮に身体を張って異を唱えるような経営者が現れたことを「ニューヨーク・タイムズ」が報じています。

その名はダン・プライス氏(29歳)。シアトルにある「グラビティ・ペイメンツ」というクレジットカード支払い処理の会社の創立者兼社長です。

写真を見ると、長髪が似合うなかなかのイケメン経営者という印象です。

この記事によると、グラビティ社の社員が受け取っている給料は1年間で平均4万8000ドル(約576万円)。

ところが先日、プライス社長は120人の社員に対し、彼らに支払う給料を年7万ドル(約840万円)以上にすると宣言したのです。

5割近く増える計算になります。 聞いた社員たちは、もちろん拍手喝采で大歓迎しました。24歳の女性社員(現在の給料4万5000ドル=約540万円)は「すっかり驚いています」と喜びを語っています。彼女は、高くなる家賃や、しばらく前に病院の救急処置室に搬送された際の請求金額を給料でカバーできるのか、不安に思っていたそうですが、どうやらその心配もなくなったようです。

さらにプライス社長は、社員の給料を大幅に上げるだけでなく、自分の給料を劇的に下げる決断もしました。年に100万ドル(約1億2000万円)近くだったのを、社員と同じ7万ドルまで下げると発表したのです。何と10分の1以下!

http://courrier.jp/blog/?p=19622

 

倍近く給料があがった人もいるそうなので、それはうれしいんでしょうね。

その後どうなったのでしょうかね。従業員全員は幸せになり、会社に不平を言うことはなくなったのでしょうか?

カーネマン氏は自身が提唱するプロスペクト理論に置いて、感応度逓減性という考えを述べていますが、それとどこか通ずるところがありますね。

ちなみに感応度逓減性とは、利益が大きくなればなるほどその感覚が鈍ってくるということです。 1万円と30万円では、利益を得たときのうれしさが異なるが、10億円と300億円ではそこまで前者ほどの感覚の違いは見られないということ。

 

「幸せ」の定義とは?

ちなみに、ディートン氏はEmotional well-beingをこう定義しています。

Emotional well-being refers to the emotional quality of an individual’s everyday experience―the frequency and intensity of experiences of joy, stress, sadness, anger, and affection that make one’s life pleasant or unpleasant.

重要なのは、ここでいう幸せとは、the emotional quality of an individual’s everyday experienceということ。

あくまで「日常の幸せ」ということですね。

年収800万円は年収200万円と比べて、日々比較的自由に買いたいものを買うことができるが、それ以上になってくると仕事からくるストレスやら時間的制約等で日常の幸せは単純に増加していなかないということでしょうか。

Life evaluationと定義を分けている点に注意が必要です。
Life evaluationとは「人生の幸せってなんだろう」みたいなより高次の評価です。
Life evaluation refers to the thoughts that people have about their life when they think about it.

なので、この論文をもって「人生の幸せはお金で買えないよね〜、やっぱり人生お金じゃないよね〜」と断言するのは早計です。
日々の幸せは頭打ちだけど、自身の人生をトータルで評価したときに「金銭的な成功=人生の幸せ」が成り立つという見方も可能です。

 

さらに「お金と格差」について研究

ディートン氏は、「格差」についても関心をもち、2013 年に「 The Great Escape: Health, Wealth, and the Origins of Inequality, Princeton Univ. Press, 2013 (邦訳『大脱出―健康、お金、格差の起源』みすず書房、2014 年)を出版しています。

その著書では、産業革命以来の経済成長、健康、格差の関係を解き明かす内容となっており、貧困の拡大や過度の所得格差に対し警鐘を鳴らしています。

先ほどのお金の問題を、世界で広がる格差(とくに途上国目線)で考えた場合はどうなるか?という切り口で論じているんですね。

 

実はディートン氏の援助批判は日本のマスコミはほとんど取り上げていない

実はディートン氏はそこで、ディートン氏は途上国援助を批判しています。

ガバナンスの弱い途上国の政府を通して援助を行っても、腐敗政権は延命し、いつまでたっても途上国の問題は解消しないと。

奇しくも9月25日、国連総会で 2030 年までの「持続可能な開発目標」(SDGs)が全会一致で採択されました。

http://www.huffingtonpost.jp/save-the-children-japan/children-development_b_8186976.html

 

「お金で幸福を買うことはできるのか?」

国際社会の開発援助を巡ってまだまだお金(とくに配分)の問題は続きそうです。

 

最後に受賞決定後のディートン教授のコメントです。

ディートン教授は受賞決定の喜びを語りながらも、「世界の経済は良くなっているといわれるが、私は、目をつむった楽観主義者ではない。世界の貧困問題は、依然としてとても悪い状況にある」と指摘した。

http://www.sankei.com/life/news/151012/lif1510120029-n2.html

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