ネットワークビジネスに誘われた話「第2話 1対1で会う」
- 2016/12/7
- ライフスタイル
前回(ネットワークビジネスに誘われた話「第1話 その男との出会い」)までの話はこちら
「昨日は声を掛けていただいてありがとうございました!」
九州会の翌日、その男からLINEがきた。
画面を見る前にキョウコちゃんからかと期待してしまった自分が恥ずかしい。
彼のLINEのアイコンは、彼がスカッシュをしている写真だった。
スポーツに縁があるように見えなかったことも、自分の顔をアイコンにしていることも意外だった。
どちらかと言うと、初対面ではおとなしそうな印象だったからだ。
おざなりに返信をし、なんとなく会話を続けた。
彼の名前はミヤモト、熊本県出身の33歳。
俺もカンタンに自分のことを伝えた。
男とLINEでこんなやりとりをしたのは人生初である。
「来週にでも飲みに行きませんか?」
そう送られてくるまでのやりとりはたったの数回。
SEを派遣する会社で営業をやっているとは聞いていたが、いくらなんでもクロージングが早すぎる。
とりあえず、仕事が忙しいからと断った。
「いい出会いはあったか?」
数日後、フジオカさんに会う機会があり、そんな質問をされたのでこの件を話した。
女性との出会いという意味で聞いたのだろうが、全く違う答えに声を上げて笑った。
「いいじゃん、飲みに行ってきなよ。ニシヤマがそいつに掘られようが俺には関係ないし」
「さすがにそれはないと思いますよ!」
男に、いや女にもモテたことがないのにマジでそれはないだろう。
しかも勝手にネコにされているじゃないか。
「でも、行ってみてもいいと思うよ。友達を増やすのはいいことだからなぁ」
「まぁそうですよねー」
それから3回くらい断ったが、約1ヶ月後、しつこいので会ってみることにした。
俺の座右の銘は、「人生は人に話せるネタ作り」なので、おかしなことがあってもまぁいいかと考えた。
場所は新宿にある世界の山ちゃん。
手羽先が好きだというミヤモトの提案だった。
約束の時間に到着すると、すでにミヤモトは店の軒先でスマホをいじっていた。
軽く挨拶をしてから店に入り、店員に案内され席に着いた。
テキトーに注文し、LINEでもやりとりした仕事の話などを中心に会話をした。
なんというか、フツーの人、むしろいい人だ。
明るくて、気を遣ってくれて、特に嫌な部分はなさそうに感じる。
大して心配していなかったけど、彼女持ちらしいのでそこも一応安心した。
「ニシヤマくんは、何か趣味ある?」
「そうですねぇ、読書ですかね」
「ホント? 俺もなんだ!」
お互いの最近読んだ本を話題に盛り上がった。
「俺のオススメは、『金持ち父さん貧乏父さん』なんだけど…」
「あ、それ10年前に読んだことあります!」
読む本の趣味も合うようで、なんだか嬉しい気持ちになった。
「よく大人数で飲んだりもしてるから、今度呼ぶね! 女の子もいっぱい来るよ」
「へぇー、いいですね! ありがとうございます」
何に釣られた訳でもなく、素直に嬉しかった。
そうゆうのに呼んでもらって、友達を増やせるかもしれない。
大人数というのがどれくらいなのか分からないし、
大人数で富士山の上でおにぎりを食べたいとは思わないけど、大人数で居酒屋の中でビールは飲みたい。
なんか、プライベートが楽しくなるかも。
始まったぞ、俺!
とにかく、ミヤモトはいい人そうだった。