ネットワークビジネスに誘われた話「第4話 LINEの友だちが一気に増える」
- 2017/2/7
- ライフスタイル
同席になったのは40歳くらいの男性2人と35歳くらいの女性。
それぞれの仕事や出身地など、初対面同士の定番の話から始まり、そこそこに盛り上がった。
その女性からのボディタッチが多かったのに全くエレクトしなかったのは、見た目が元ヤン丸出しだったことだけでなく、会話の中でバツイチで子持ちだということを知ったからだろう。
「ニシヤマくん、楽しんでる?」
ミヤモトがちょくちょく聞きにくる。
「はい! 楽しいですよ」
「よかったー、そろそろ他の席行こうか?」
ミヤモトに連れられ、女性比率の高い席に移動した。
年齢はさまざま、22歳~38歳くらいの女性たちが集まっていた。
「今日初めて参加してくれたニシヤマくんだよー!」
ミヤモトは初めて参加する私に気を遣ってくれて、同じように何度か席を移動した。
その度に打ち解けた人とLINEの交換をし、この日だけで一気に20人くらいLINEの友だちが増えた。
コミュ障の俺にとって、1日にこんなにもたくさんの初対面の人と会話をしたのは初めてだった。
参加してよかった…心からそう思った。
キョウコちゃんクラスの女性はいなかったけど、この際誰でもいいから何とかしたいなんてゲスな気持ちすら生まれてしまった。
駅まではミヤモトと2人で歩いた。
俺は礼を言い、テンションがおかしくなっていたのか彼の手を取って握手をした。
掘られるのではないかと一縷の不安があったのに、むしろこっちから触れることになるとは思いもしなかった。
「楽しかったならよかったよ、来週は渋谷で『馬刺し会』ってのがあるんだけどどうかな?」
「ぜひ参加させてください!」
品川方面に住んでいるという彼と駅で別れ、1人になるとだんだん酔いが醒めてきた。
ふと振り返ると、いくつかの疑問が生まれた。
そういえば、今日の会はミヤモトも呼ばれた側だと言っていた。
それにしてはほとんどみんなのことを知っていたようだったが、どうゆうことなのだろう。
俺にこんなに良くしてくれるのはなぜなのだろう。
そんな疑問も、LINEを交換した女性から来た「また飲もうね!」のメッセージでどうでもよくなってしまった。
キョウコちゃんのこともどうでもよくなりたいものだ。