30代で本当のグローバルなビジネスマンになるために必要な「宗教」についての基本
- 2016/7/12
- ビジネス
近年世界各地で宗教が絡んだテロ事件が起きていますが、そもそもこのようなテロ事件のみでなく、世界で起こる様々なことが宗教によって動いています。
そのため、宗教の知識をつけることはビジネスマンにとってとても大事です。
以下は、識者の宗教に対する考え方を抜粋したものです。
グローバル社会では、宗教の基本的な 知識は必要不可欠になると確信しました。私たち日本人とはまったく違った価値観、世界観、宇宙観を持つ西洋人とビジネスをする上において、宗教の違いから生じる誤解は大きなマイナスを生む危険をはらんでいるのですから。
世界史は、宗教の違いによる戦争、紛争の歴史でもあります。
私たちが考えている以上に、現代の世界は宗教で動いているのです。
これらの方が語るように、現代社会を生きる我々にとって、宗教を理解しておくことは、もはや必須と言えるのではないでしょうか。
世界の半分がキリスト教徒かイスラム教徒!?
日本にいると、あまり宗教について考える機会が無いと思いますが、日本を一歩出ると、宗教を強く感じると思います。
それもそのはず。
現在世界の人口は63億人と言われていますが、その約3分の1にあたる人がキリスト教徒なのです。
そして次に多いのがイスラム教徒。
つまり、キリスト教徒とイスラム教徒の数を合わせると、世界人口の半分にもなるんです。
そこで、今日はこの2つの宗教について、少し見ていきたいと思います。
キリスト教徒とイスラム教は兄弟宗教!?
皆さんは、キリスト教とイスラム教が元々はユダヤ教から派生した兄弟宗教だということをご存知でしょうか?
キリスト教は紀元一世頃にユダヤ教から派生する形で生まれました。
さらに、西暦610年、そのキリスト教から派生したのがイスラム教です。
よって、キリスト教とイスラム教、この2つの宗教は元々は1つの兄弟なのです。
ところが、兄弟故に、様々なことが確執を生み、現代のイスラエル パレスチナ戦争を始め、アメリカを敵対するイスラーム国へと発展していったのです。
それぞれの宗教の関係性
それぞれの派生の歴史を見ても分かるように、当然キリスト教はイスラム教を認めていないですし、ユダヤ教はキリスト教もイスラム教も認めていません。
しかし、元々が同じ宗教だっただけに、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、この3つの宗教には共通するものがいくつかあるのです。
その主なものが聖書と聖地です。
3つの宗教に共通する聖書とは?
ユダヤ教の聖書であるトーラー(旧約聖書)は、キリスト教、イスラム教においても聖書として読み継がれています。
ちなみに、我々がよく聞く「旧約聖書」という呼び名は、キリスト教で新たに聖書が書かれたために、それまでの聖書が「旧」と呼ばれるようになったのであって、キリスト教の聖書を認めていないユダヤ教にとっては、旧も新もなく、「聖書」といったら、トーラーのことを指します。
ユダヤ人に「旧約聖書」なんて言ったら怒られるので、気をつけてくださいね。
トーラー(旧約聖書)には、私たちがよく知っているアダムとイブの創世記から始まり、人類の最初の預言者(神の言葉を預かる者)であるアブラハムなど、人類の歴史とその中で神と交わされた約束が記されています。
この同じ聖書を3つの異なる宗教が自分たちの先祖の歴史と捉えていることが、3つの宗教の対立を生んでいるのです。
聖地エルサレムとは?
では、その対立の素とは一体なんでしょうか。
それは、トーラー(旧約聖書)の中で、神がアブラハムに与えたもの。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教における、もう1つの共通点である聖地、エルサレム(現在のイスラエルの首都)なのです。
神は、「アブラハム、そなたにカノンの地(エルサレム)を与えよう。さあ、カノンの地を目指すのじゃ!」と言って、人類最初の預言者であるアブラハムにエルサレムを与えたとトーラーに記されています。
トーラー(旧約聖書)は3つの宗教に共通する聖書ですから、エルサレムはどの宗教にとっても、神から授かった大切な土地なのです。
このことが原因で、現在まで「エルサレムはおれらの土地だ!」「いや、おれらの土地だ!」という争いが、続いているのです。
現在は、ユダヤ人の国である”イスラエル”がエルサレムを自国の首都として主張している一方、イスラム教の国である”パレスチナ自治区”も同様にエルサレムを自国の領有として主張しています。
これが、中東で銃声が鳴り止まない理由なのです。
キリスト教とイスラム教の対立の歴史
また、聖地以外の理由でも、これまでキリスト教とイスラム教は敵対してきました。
その1つの理由がイエス・キリストの捉え方です。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の世界では、神の言葉を預かって、人々に分かる言葉で伝える人のことを「預言者」と言います。
歴史上最初の預言者が、神からエルサレムを授かったアブラハム。
そして、海を割ったエピソードで有名なモーセも預言者の1人です。
さらには、ノアの箱舟のノア。
ここまでは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、全てに共通して認識されている預言者です。
ただ、ここからが違います。
それがイエス・キリスト。
キリスト教では、イエス・キリストは神の子。
預言者でも普通の人でもなく、神の姿を地上に写した救い主そのものなのです。
これに対して、イスラム教では、イエス・キリストは、預言者の1人としてとらえています。
そして、イエス・キリストがこれまで神から預かってきた言葉は全て古いものだと考えているのです。
イスラム教では、「神の言葉は更新される」と考えられています。
つまり、「この前まで私がイエス・キリストに伝えていた内容は間違いね。正しい内容は新しい預言者に伝えたから!」といった感じ。
その新しい預言者こそが、イスラム教の指導者であるムハンマドだと考えているのです。
「イエス・キリストが言っていることなんて古いよ。今神様はそんなこと言っていないし。」
「今の神様が言っていることは、ムハンマドを通して、我々が聞いている言葉ですー。」
とイスラム教は主張している訳です。
こんなこと言われたらキリスト教徒は面白くないですよね。
自分達の信じていることを真っ向から否定されている訳ですから。
これが理由でキリスト教はこれまでイスラム教と激しく敵対してきたのです。
このことを背景としてとらえておくと、なぜあんなにもアメリカが中東諸国を干渉するのかが分かってくるのではないでしょうか。
そして、この過度な干渉が、イスラム諸国のアメリカに対する敵意を生み出していることは明らかです。
まとめ
- キリスト教とイスラム教はどちらもユダヤ教から派生した兄弟宗教
- ユダヤ教、キリスト教、イスラム教に共通する聖書のせいで、エルサレムをめぐる争いが生まれている
- イエス・キリストのとらえ方の違いが、キリスト教とイスラム教のお互いへの敵意を生んでいる
いかがでしたでしょうか?
これら宗教の背景を認識しておくとニュースの見方も変わるのではないでしょうか。
また、今回書いた内容は、あくまでも私独自の認識も入っていることをご了承下さい。
宗教はとても複雑なものです。
一概に一つの側面だけで語れるものではありません。
そのことを認識して読んで頂けると嬉しいです。